鼻煙壺

Description

この精巧な「鼻煙壺」は、鮮やかな黄色（鶏油黄）の陶磁器地にオレンジ色の蓋を配した手のひらサイズの嗅ぎ煙草入れです。清朝皇室で珍重された鶏油黄釉の温かく深みのある美しい黄色が格調を演出し、上部のオレンジ色の蓋が鮮やかなアクセントとなって全体の色彩バランスを美しく整えています。

壺の表面には外画技法により精密な絵柄が描かれており、飛翔する燕と緑の植物が自然な美しさで表現されています。燕は中国では春の訪れと幸福を象徴する縁起の良い鳥で、家庭の平安と繁栄を願う意味が込められています。また、右側には漢字による詩句が優雅な書体で記されており、絵画と書道が調和した総合芸術としての価値を高めています。小さなサイズながら職人の高度な技術と芸術性が凝縮された仕上がりとなっています。

専用の精巧な木製台座が付属しており、装飾的な彫刻が施されて安定した展示が可能です。嗅ぎ煙草入れとしての本来の用途から、現代ではインテリア装飾品や中国古典工芸のコレクションアイテムとして高い価値を持っています。手のひらサイズの小さな器に込められた職人の技術と文人趣味は、中国文化の奥深さと美意識を感じさせる特別な逸品です。